物見ヶ岳 (745.6m)
 
 阿東町の山口線沿線は、JRを利用して登れる山の宝庫である。その中でも、物見ヶ岳は静かな山行が楽しめる通の山として知られているが、なかなか手強そうで懸案になっていた。今回、山口線沿線山行シリーズの天王山として挑戦。篠目駅下車後、国道9号に出て室ノ井踏切をわたり川のコンクリ堤防沿いに進むと林道との十字路に出る。右折して集落に出て、墓の側のお地蔵様の横からイノシシ柵沿いの2m幅の山道が始まる。杉林の中を行くと第1の沢に出会う。これを越えてトラバースする山道を行くと鞍部にいたり、第2の沢に出会う。沢の中の道は落ち葉がいっぱいで趣がある。延々と続く道をテープを目安に行くと最上流部で砂防堰堤跡に出会い、これを巻くようにジグザグの山道をいくと小さな沢に出会う。これから急登の尾根道を登り鞍部に至って、もうひと登りすると山頂に至る。山頂は国道側が木で麓の景色は望めないが、徳地側ははっきり見える。徳地側に石ヶ岳、千石岳、北側に高羽ヶ岳、青野山、他に秋吉台、鳳翩山、山口尾、蕎麦ヶ岳、防府の海が見える。
 下りは滑りやすく、沢で2回も大滑りして、腰を打つ。登山靴のゴム底は濡れた川の石で滑る。一つ間違えば、下山不可能となる大けがになるところだった。久しぶりに山らしい山。しかも落葉の中の沢が良い。登って初めてわかる味のある山だ。本当に秋の似合う山だ。登山時はすでに紅葉は落葉し、落ち葉も色あせていたが、もし、紅葉の最盛期であればすばらしい沢景色だったと思う。おそらく、県内有数の紅葉の山であろう。しかし、テープがないと迷うのは必至。また、下山時の転倒に注意。雨の後や、積雪期、夏は山行は無理と思う。長門峡付近の山は熊の棲息地域であり、鈴等の準備は忘れずに。転倒時の対応等も考えると単独行はやめた方が良い。狩猟解禁期にはハンターにも注意が必要である。(96.11.10)
(後記)残念ながら写真は残っていない。よほど、気に入ったのか当時のノートには登って初めて良さのわかる山という記述が2回ある。転倒の際、尾てい骨を打ち、その後一ヶ月、腰に力が入らなかった。