大平山  (631.3m)
 大平山は県内の放送局の第1次電波中継所が集中する山として、また、ロープウエイのある山として有名である。このため、登山者には敬遠される山だが、昔は山に登ったというと、大平山ですかと聞かれた時期があった。とはいえ、ごく最近まで、大平山林道コースは時間がかかるものの、緩やかな道で、入門者向けの山として最適で、また、藪山が登れない夏場でも安心しても登れる山として重宝していた。また、未舗装の林道があるため、MTBで山頂まで登れる県内で数少ない山であった。しかし、林道は拡張、舗装され、洗川溜池まで自家用車の進入が可能となり、さらに、山頂まで自動車が登れるように山頂付近が整備されつつある。登山コースとしては、他に、直登コース、富海コースがあるが、今回、唯一未踏の阿弥陀寺コースで登った。
 防府駅下車後、防長バス阿弥陀寺行きに乗り、終点下車。バス便は少ない。茅葺きの山門が迎えてくれる。この山門は、雨の上がった後が最も趣がある。しばらく行き、東参道の石段入口にハイキングコースという看板を見つけ、鐘楼のある広場に出ると登山コースの看板を見つけ、山道に入る。麓からみるなだらかな山容とは裏腹に、一歩、山に入れば、他の防府の山と同じく、巨岩が露出している。太古からの土石流により、巨岩が散らばっている。丸木橋を渡ると10メートル超の立方体の巨岩を右手に見る。再び、丸木橋を渡ると竹林になる。展望がないまま、湿地帯や藪気味の急な道を登りつづけて、そろそろ精神的に疲れた頃に、谷に出て、麓の景色が見える。しかし、すぐ近くに見える林道に出るのに以外に時間がかかり、堰提から沢を渡り、やっと林道に出る。2段の洗川溜池をすぎ、溜池を周回するように作られた新しい遊歩道を歩くと、山頂のアンテナ群が見える。山頂への作業用自動車道にでて、すぐに電柱用の切り開きから、山道に入る。この山道は短いが、なかなか自然感がある。
 山頂に出ると、春霞のせいで、北面の景色はすぐれず、わずかに石ヶ岳が見える。南面には、瀬戸内海、防府市街、西に稜厳寺山、右田ヶ岳、花ヶ岳、矢筈ヶ岳が見える。山頂広場では、駐車場が整備されつつある。展望台から、登山口の阿弥陀寺の黒瓦がはるか下に見える。ロープウエイの存続も話題になりつつある今、大平山はマイカー登山の山へなりはててしまうようだ。ロープウエイで下りながら、この景色もいつまで見られるかむなしくなる。山麓のバス停は今回も小生1人。ロープウエイが廃止になれば、このバスを間違いなく廃止になり、公共交通機関では登れない山となるだろう。さて、この阿弥陀寺コースは湿地帯が多く、夏は間違いなく出そうですし、虫も多そうですし、冬シーズンのみおすすめします。蛇足ながら、山頂のツツジ広場にもマムシ注意と出てますし、山頂近くの谷沿い等で昼寝をしているので十分注意しましょう。(02.02.24)

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