楞厳寺山 (369.8m)
 お得な山というものがあるとすれば、まさにこの山のことだろう。駅から近く、手軽に登れ、尖峰は登高意欲をわかせ、適度に汗をかけ、高さの割に景色は抜群と至れり尽くせりである。もっとも、過去の沢崩れで登山道が何度か変わっている。防府といえば、いまや右田ヶ岳が人気絶頂だが、小生はこの渋い凌厳寺山こそ一番と思うのだが。
 大道駅下車後、国道をわたり、防府西高を目指す。防府西高の東側の道を登っていくと、岩淵観音に出る。なおも、直進し、山陽自動車道の高架下を抜け、測道を左折し、峠を越えると小さな広場に出て、登山口の看板に出る。なお、右折した場合、旧山陽道に出る。
 さて、ここで小さな溜池と堰提をすぎた広場から、左上方への登山道があるはずだが、沢崩れのため、石組みの堰提は崩れ落ち、沢も大きく浸食されている。この沢沿いに登るのがもっともわかりやすいのだが、石が崩れ落ちてきそうで、旧登山道らしい小さな沢道をのぼると岩がごろごろしている広場に出る。ここが昔、寺があったところらしく、残雪の中、何度も足がはまり、リングワンデリングを起こし、あきらめ、下山を始めると、崩壊沢の中に旧登山道のテープを見つけ再登山開始。水はけが悪く滑りやすい。やっと、鞍部にでるとシダが生い茂っている。最後の急坂を登りきると、真砂土の山頂広場に出る。鳳翻山、大平山、秋穂方面の景色が良い。下山は崩壊沢の中のテープを慎重に下っていった。小生が山歩きを始めてからはじめて道を失いそうにそうになった想い出の山となった。(94.02.13)
 その後、2つの新砂防ダムが完成。砂防ダムへのコンクリ道を登り、第2砂防ダムの左手前から旧登山道の看板。地籍調査のため、旧登山道は切り開かれ明確な道へ。崩壊沢の上部で沢を渡り、鞍部への急登。このあたり、以前は木が茂り適度な自然感があったのだが、木が刈られ新たな沢崩れを、招かないか心配だ。鞍部からも上も木が刈られすぎで道を間違えそうになる。展望は良く、今日は大分県も見えた。帰りは別の道を取ったが、急な下りで、何度も分岐があり、地籍調査の伐採帯だったようだ。崩壊沢の中の道は土で埋もれ、旧登山道が主登山道に復活したようだ。(96)
 HP用の写真を撮るため、久しぶりの登山。防府駅あたりで霧が低くたれ込めるが、大道駅に着くと、晴天になる。周防往還自転車道から見る山は、登高意欲をわかせてくれる。登山口から砂防ダムへのコンクリ道を登り、第2砂防ダムの左手前から新しい看板をみて登山道を行く。しばらく、雑木林の中の道を進む。いつの時代かわからないが明らかに人工的な石組みがある。巨岩が転がる広場で昔の寺の遺物を探すが何もない。おそらく、巨岩の下に眠っているのだろう。沢をわたると、前回よりもさらに土砂崩れが進んだ急登になる。表土が削られ、滑りやすくなっている。このままでは、再び大崩落が起きるだろう。鞍部で休憩しているおじさん2人としばし会話をする。これから先の道は、最初に登った頃はシダを踏み分けながら登ったものだが、今は土が削られた道になっており、滑りやすく、特に下りは注意が必要。山頂には先客4名。あいにく、小雪が舞い散る山頂からは、大平山、矢筈ヶ岳、右田ヶ岳、西目山、火の山連峰、大海山、遠くに山口尾、蕎麦ヶ岳、真田ヶ岳がかすんで見えるにすぎない。この山が再び山崩れで登れなくなる日が来るのではないか、そんな危惧を感じた山行だった。 (02.02.10)

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